住宅に関する補助金制度として、国土交通省・経済産業省・環境省の3省が連携する「住宅省エネ2025キャンペーン」が実施されています。
具体的には、住宅の省エネ化を支援するため、新築とリフォームを対象とした下記4つの補助事業が行われています。
・子育てグリーン住宅支援事業
・先進的窓リノベ2025事業
・給湯省エネ2025事業
・賃貸集合給湯省エネ2025事業
今回は、「子育てグリーン住宅支援事業」の新築について解説させていただきます。
※最新の情報につきましては、子育てグリーン住宅支援事業のホームページをご確認ください
目次
名称は異なるものの、昨年度の「子育てエコホーム支援事業」に続き2050年のカーボンニュートラル実現に向けた施策です。
新築住宅においてエネルギー価格等の物価高騰の影響を特に受けやすい子育て世帯や若者夫婦世帯などに対し、「ZEH基準の水準を大きく上回る省エネ住宅」の導入や2030年度までの「新築住宅のZEH基準の水準省エネルギー性能確保」の義務化に向けた視野の広い支援を行うとともに、既存住宅についても省エネ改修等の支援を行うという事業です。
新築においては、なんと最大160万円が支援されます。
これは昨年度の「子育てエコホーム支援事業」よりも増額しており、今回は3省が連携していることからも、より力を注いでいることが伺えます。
子育てグリーン住宅支援事業の補助金対象には4つのタイプがあります。
GX志向型住宅・長期優良住宅・ZEF水準住宅のいずれかに該当する住宅が対象です。
住宅のタイプによって補助金額が異なり、GX志向型住宅はすべての世帯が対象ですが、長期優良住宅とZEH水準住宅においては子育て世帯と若者夫婦世帯が対象となります。
注文住宅の新築と同様に、GX志向型住宅・長期優良住宅・ZEH水準住宅が対象となります。
対象となる世帯も注文住宅の新築と同様です。
昨年度の「子育てエコホーム支援事業」とは異なり、今回の制度では賃貸住宅の新築においても条件を満たすと補助金の対象となります。
賃貸住宅の新築につきましては 詳しくはこちらをご確認ください。
下記3種類の「必須工事」の中から2種類以上のリフォームを実施した場合、補助対象となります。
ただし、同じ種類の工事を複数行っても1つとしてカウントされます。
「必須工事」
1.開口部の断熱改修
2.躯体の断熱改修
3.エコ住宅設備の設置
上記の2種類以上の必須工事を行った上で、下記4~8の「任意工事」を実施した場合はプラスで補助対象となります。
「任意工事」
4.子育て対応改修
5.防災性向上改修
6.バリアフリー改修
7.空気清浄機能・換換気機能付きエアコンの設置
8.リフォーム瑕疵保険等への加入
リフォームの場合、対象工事内容ごとに補助額が異なり、その合計が補助額となります。
ただし、この合計補助額が5万円未満の場合は補助対象外となるため注意が必要です。
今回は、この中の①注文住宅の新築について解説させていただきます。
子育てグリーン住宅支援事業は、先にも申し上げた通り「高い省エネ性能を有する住宅」が補助対象です。
また、子育てグリーン住宅支援事業の登録業者との契約が条件となりますので、注文住宅を建築されるハウスメーカーや工務店が事業者登録を行っているかを必ず確認しましょう。
工事請負契約日の期間は問われませんが、着工までに契約が締結されている必要があります。
2024年11月22日以降に、基礎工事より後の工程の工事に着手した住宅が対象となります。
そのため、2024年11月22日時点で「地上階の柱」、「壁」、「梁」、「屋根」が着手済みの場合は対象外となります。
申請期間は、申請から予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)となっております。
例年、早い段階で予算上限を迎え終了しているため早めに申請することをおすすめします。
締め切りは予算上限に応じて公表されますので、補助金をご検討の方は子育てグリーン住宅支援事業の公式ホームページをこまめに確認しましょう。
申請は必要な手続きを踏むことで予約が可能です。予約期間も予算上限に達するまでとなりますが、こちらは遅くとも2025年11月14日までとなっております。
交付の申請は、基礎工事の完了以降に行うことができますが、申請時に基礎工事より後の工程において、補助額以上の工事完了を確認できることが要件となっています。
そのため、2026年1月31日までに当該出来高の工事を完了し、その旨を報告する必要があります。これは完了報告の提出でも可能です。
子育てグリーン住宅支援事業の対象となる住宅について、大前提として次の①②③のいずれかに該当する住宅が対象になります。
また、それぞれで対象となる世帯が異なります。
①GX志向型住宅 → 全ての世帯が対象
②長期優良住宅 → 子育て世帯または若者夫婦世帯が対象
③ZEH水準住宅 → 子育て世帯または若者夫婦世帯が対象
子育て世帯、若者夫婦世帯は次の条件に該当する世帯のことです。
子育て世帯:18歳未満の子を有する世帯
若夫婦世帯:夫婦のいずれかが39歳以下の世帯
店舗併用住宅を含む戸建て住宅、二世帯住宅やマンション、長屋を含む共同住宅も対象となります。
また、上記の①②③に加え、下記のA~Fを満たす必要があります。
A 証明書等にて対象となる住宅の性能を有することが確認できること
B 建築主(所有者)が自ら居住すること
C 建物の床面積が50㎡以上240㎡以下であること
D 住宅の立地が、土砂災害特別警戒区域や災害危険区域など立地等の除外要件に該当しないこと
E 未完成または完成から1年以内であり人が居住したことがないもの
F 2026年1月31日時点で基礎工事より後の工事工程の出来高が補助額以上であること(竣工していなくともよい)
Aの証明書取得には、手数料が必要です。また、証明書等の発行によって補助金の交付が約束されるものではありません。
申請期間に間に合わなかったり、他の要件を満たしていなかったり等、補助金を受給できない場合もありますので注意しましょう。
子育てグリーン住宅支援事業の対象住宅の3種類は具体的にどのような家なのでしょう?
それぞれ見てみましょう。
①GX志向型住宅
GXとは、「Green Transformation」の略で、温室効果ガスを生み出す化石燃料に依存してしまっている現在から再生可能エネルギーを中心とした持続可能な社会へと転換していく取り組みのことを言います。地球温暖化や気候変動の問題への対策として世界的に注目されています。
ZEH水準を大きく上回る省エネ性能を有する脱炭素志向型住宅です。
このGX志向型住宅には、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入が必須となります。
※条件は地域によります
断熱性能・省エネ設備の基準が高く、エネルギーを創る「創エネ」も重視されます。
②長期優良住宅
長期にわたり良好な状態で暮らせる措置が講じられた住宅を指します。
太陽光発電などの再生可能エネルギー導入は必須ではありませんが、次のような認定基準を満たす必要があります。
・劣化対策
・耐震性
・省エネルギー性
・維持管理・更新の容易性
・可変性
・バリアフリー性
・居住環境
・住戸面積
・維持保全計画
・災害配慮
長寿命で、維持管理のしやすさや耐震性などが重視されます。
③ZEH水準住宅
Zero Energy Houseの略で、エネルギーの収支をゼロにする家という趣旨があります。
省エネ・創エネ・高断熱という3つの要素を満たすことでZEH住宅として認定されます。
光熱費の削減や災害時でも電力確保ができ、建物の資産価値も高まる住宅です。
注文住宅の新築における子育てグリーン住宅支援事業の補助額は住宅の性能タイプで異なります。
①GX志向型住宅 → 160万円/戸
②長期優良住宅 → 80万円/戸
③ZEH水準住宅 → 40万円/戸
②③においては、古家の除却を伴う場合に補助額が20万円加算されます。
これは複数の古家を除却した場合でも20万円が上限となります。
Q.誰でも補助金を受けられるの?
A.すべての世帯が対象になるのは「GX志向型住宅」です。
「長期優良住宅」と「ZEH水準住宅」においては、子育て世帯または若者夫婦世帯が対象となります。
Q.申請は自分でできるの?
A.できません。申請は「登録事業者」(ハウスメーカーや工務店など)が行います。
申請するためには、ハウスメーカーや工務店が子育てグリーン住宅支援事業に事業登録をしている必要があるため請負契約を結ぶ際には必ず事前に確認をしましょう。
また、補助金は直接国から本人へ交付されるのではなく、申請した事業者に交付されます。その後、契約したハウスメーカーや工務店から補助金を受け取ります。
Q.どの住宅タイプが1番良いの?語弊
A.一概には言えません。
・初期費用がかかっても、将来の光熱費削減まで考えているなら「GX志向型住宅」
・資産価値・安心感を重視するなら「長期優良住宅」
・補助額は低いものの、コストを抑えて省エネ住宅を取り入れたいなら「ZEH水準住宅」
がおすすめです。ご自身のライフプランや予算に合わせて検討するのが重要です。
Q.補助金はいつもらえるの?
A.工事完了後に、登録事業者を通じて申請が承認されると受給できます。
国から本人に直接現金が振り込まれる形ではなく、家を建てたハウスメーカーや工務店などに受給されます。
ハウスメーカーや工務店によっては、工事費の差し引きで対応されることもあります。
Q.他の補助制度と併用できるの?
A.制度ごとにルールが異なります。リフォーム補助金である「先進的窓リノベ事業」など一部の補助金とは併用が可能な場合もあります。
申請前に、建築を依頼されるハウスメーカーや工務店へ確認することをおすすめします。
「子育てグリーン住宅支援事業」は、国が本気で取り組む住宅の省エネ化政策の一環であると同時に、住まいづくりを考える家族にとって大きな後押しとなる制度でしょう。
補助金の「お得さ」だけでなく、光熱費の削減や快適性、将来性にまでつながることが大きな魅力ではないでしょうか。
大切なのは、「どの住宅タイプを選ぶのが自分達に最適なのか」を見極めることです。補助金はあくまでお家づくりの一部分であり、ライフスタイルや将来設計と合わせて考えることが重要です。
黒澤工務店では、補助金の活用方法から設計・性能のバランス、資金計画に至るまでトータルでサポートいたします。
この機会を逃さず、補助金制度を賢く活用して永く快適に暮らせる住まいを実現しましょう。
最後までご覧いただきましてありがとうございます。
最高のお家づくりとなることを心より願っております。
株式会社黒澤工務店
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